甘え下手
「どこがいい? 俺んち来る?」

「え? えっ? どうしてですか?」

「約束したじゃん」

「え? 何を?」

「失恋したら俺に慰められるって、約束したじゃん」

「……っ、何言って」

「笑うな」

「……」

「もう無理して笑うな」


運転してたから彼女の顔を直視していたわけじゃない。

だけどそれでも彼女の涙があふれ出して、後から後から頬を伝ってるのが分かった。


『確信』が『真実』に変わった瞬間。

俺の胸の中にも苦みが広がった。


「……なんでっ」


拳で流れる涙を拭い続ける彼女は、意思の力で涙を止められないことをふがいなく思っているようだった。


「べつにいいじゃん。泣いたって。六年間もずっと好きだったんなら、当たり前だろ?」
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