ルピナス




「それでね、そんな僕がね、
来週、大学に行く事になったわけさ。

一人じゃ心細く感じるから、是非とも弓月ちゃんにも付いて来て貰いたいという事!」

ボールでも投げるかの様な感覚で言い放つ真澄に、弓月は顔を顰める。


「事情は分かりましたけど…。
私が付いて行って何とか成る物なのですか?」

どう考えても高校生である弓月がノコノコ付いて行った所で
何かが変わるともとても思えない。


「うーん。
まぁ、

実を言えば誰でもいいんだよね。」

真澄はこれ以上無いと言う程の鮮やかな笑顔を見せた。


彼のその一言には、明らかに棘が含んでいた。


勘違いするなよ。


そう言っている様に弓月は感じたが、
残念な事に勘違いも何も、弓月は彼に対し何の感情も抱いていないのだ。

弓月は口には出さなかったが、心の中で密かに呟く。



「ただ、平日な分けだし、僕の知人では時間が合う人が居ないんだよね。」


真澄が知人と言い放った事に、弓月は顔を上げた。

…知人?友人ではなくて?


それは単なる皇真澄という男の気紛れな言い方かもしれないが、どうにもこの男からは怪しくも妖しい雰囲気が漂ってくる。



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