ルピナス




「ありがとうね。

今度、何か奢って上げよう。
何が好き?」


随分上から目線だなと思ったが、彼が立派な大学生である事を忘れていた。

…大学何年生とまでは知らないが。


「私、白米と半片とキャベツしか食べないんで。」

驚くかもしれないが、
少なくともこの数年間、彼女はずっと朝昼晩、この三品だけを食べて来たのだ。


案の定真澄は目を剥いた。

「え?本当に?そんなに偏った食生活で君は人生を送っているのかい?」

大袈裟な程目を丸くし、癖なのか、左手で握っていた筆を絵具が飛び散りそうな勢いでブンブン振り回す。


千石弓月は、
愕くほど凝り性であり、一度嵌る物には中々抜け出せないのだ。

その為、一度愛してしまった半片とキャベツからも、中々抜け出せず、何年経った今でも熱が冷めない。それ故に彼女は滅多に外食をしないし、間食もしない。




< 19 / 20 >

この作品をシェア

pagetop