ルピナス




「駄目だな、そんなんじゃ。
君、それだからそんなに痩せてるんだよ。まぁ、良く言えばスタイルが良い訳だけど。」

「いいんですよ。ほとぼりが冷めるまで食べ続けます。」

淡々と話した弓月は、そっぽを向く。


思い付いた様に腕時計に目をやると、そろそろ昼休みが終わる時間になっていた。

真澄もそれに気付いたのか、イーゼルや絵画道具を片付け始めた。

それを目にした弓月は、なんとも言えない複雑な気分に襲われる。


「…それ、ワザとなんですか?」

「ん?」

弓月は如雨露を元の位置に戻しながら尋ねる。

「皇さん、勘違いなら申し訳ないんですけど、
何かいつも私が花壇に居る時に絵を描きに来てません?
もっと他の時間…授業中とかには描きに来ないんですか?」

弓月はずっと抱えていた疑問を投げ付ける。

当の本人は一瞬戸惑うような素振りを見せたが、直ぐに歯を見せ笑う。


「ええ?弓月、今更気付いたのかい?
どう考えてもそうじゃんか。」

両目を爛々としながら真澄は弓月を覗き込む。


「ふっ、だってね、一人で悶々と絵を描くなんてつまらないじゃないか?」

「まぁ一理ありますね。」


「一理あるじゃなくて、そうなんだよ。
一人で絵を描くなんて、寂しくてありゃしない。」

「画家なんてそんな者ではないのですか。孤独と戦うのが芸術家みたいな…。」

「それは戦士じゃなくて?」

「まぁどちらでも。」




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