週末シンデレラ
『それなら心当たりがある。最後に余計なことを言ってしまった』
係長が言っている余計なこととは「助かった」と言ったことだろう。わたしもその一言で、思いきり動揺してしまったのだ。
メールの文面は、まだ続いていた。
『今日は、カオリさんに言われた通り、言葉に気をつけてみたんだが難しいな。それでも、言いたいことは少し伝わったみたいだった』
不思議に思っていた係長の心境の変化は、“カオリ”に注意されたからだったようだ。
自分の言葉で、誰かが変わろうとしてくれる。
思ってもみなかったことに、嬉しさで胸がじわりと温かくなった。
「なんて返信しよう……それはよかったですね、かな……」
メールの返信を考えていると、画面の上部に新着メールの受信が表示された。
「あれ? また、係長だ。まだ返信してないのに」
送り主は都筑係長だった。
書き忘れたことでもあったのだろうか、とメールを開くと。
『きみのおかげだ、ありがとう』
その一文だけがあった。
「……ず、ずるい。係長……」
係長は照れながらも、頑張ってこの一文を送ってくれたのだと思う。
でも、その無自覚さが、わたしの心を乱しているなんて、きっと気づいていないだろう。
結局、わたしの心臓はベッドに入ってからも、なかなか落ち着くことはなかった。