週末シンデレラ


* * *


それから一週間が経った。

その間、都筑係長から“カオリ”にメールはなく、仕事も係長と関わることがなくて、彼の変化を感じる機会がなかった。

けれど、美穂の愚痴が減ってきているので、彼なりになにか気をつけているのかもしれないと思う。

わたしは仕事から帰り、そんなことを考えながら夜ご飯を作っていた。

作るといっても、パスタを茹でて市販のソースにあえるだけの簡単なもの。

具材も自分では足さず、サラダはお弁当でも使う、ミニトマトとレタスをちぎっただけ。

ひとりだと作る気がしないし、いろんな食材を揃えていたら、せっかく自炊をしても節約にならない。

「武田さんより働いているんだから、お給料あげてほしいよ」

ひとりで嘆(なげ)きながら、できたてのクリームパスタをローテーブルへ運ぶ。

すると、テーブルに置いていたスマートフォンに一件の新着メールが届いていた。

誰からだろうとも考えず、受信ボックスを見る。送り主の名前を確認し、手からスマホが落ちそうになった。

「つ……都筑係長」

送り主は、都筑係長だった。久しぶりのメールに、胸を打つ鼓動が速くなる。

また、言い方が悪かったのかも……と、悩んでいるのだろうか。

でも、今日は誰かを怒っていた様子もなかったし、ただ淡々と仕事をこなしているように見えたのに。

もしかして……。

わたしは、ある予感が頭をよぎり、緊張で強張る喉をゴクリと鳴らしてから、メールの本文を開いた。


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