初恋の宝箱

自分が当てられていないことに気付かないのか桃子は一向に答えようとしない

そんな姿を見かねた後ろの席のさつきがシャーペンで桃子の背中をつつく

はっとした桃子はまたしても柳瀬に睨まれた

「佐倉、問3の答えは?」

威圧的な柳瀬の声がシーンとした教室に響く

「1...ですか」

咄嗟に答えた答えが正解している確率なんてそんなに高くない

「違う。後ろいって篠田」

「4ですか」

「正解」

『あ~あ、またやっちゃった』

その日の昼休みー

さつきと昼食を教室で食べていた桃子はどこか元気がない

いつもなら柳瀬に怒られた後は必ず桃子はさつきに愚痴る

しかし、今日はそれもなく口数が少ない上に弁当をつつく箸も進んでいないようだ

「桃子、どうしたの?具合悪いの?」

心配したさつきが声をかけると

「あ、うん!なんでもない。ごめんごめん」

そう言って誤魔化す桃子
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