【番外編】惑溺 SS集
「……信じてない」
リョウは耳元で、吐息だけで囁くように低い声でそう言った。
「リョウ……?」
信じてないって、私の事を信じてくれていないの……?
その感情を押し殺したような声に驚いてリョウを見ると、乱れた黒い髪の間から覗く瞳はまっすぐに私を見つめ、その視線が熱を帯びた。
「俺は、信じてない」
もう一度そうつぶやいてリョウは目を細めた。
どういう意味だろう。
私の態度に愛想を尽かされちゃったのかな。
本気でリョウを怒らせちゃったのかな。
なんて言い返せばいいのかわからなくて、リョウに見つめられたままごくりと息をのみ込むと、私を壁に押し付ける彼の腕に力が入った。