【番外編】惑溺 SS集

「ん……っ」

固い壁に押し付けられた身体。
私が思わず小さく息を吐くと、さらに力が込められた。

身動きの取れない私を見下ろして、リョウが微かに首を傾ける。
顔を隠していた黒い髪がはらりと横に流れて、露わになった綺麗な瞳が、私を斜めに見下ろして睨みつけた。


その刺すようなするどい視線がどうしようもなく魅力的で、私はまばたきすら忘れて、リョウの黒い瞳に見惚れていた。



「……俺は、お前が他の男に口説かれたり肩を抱かれたりしてるのを、黙って見てられるほど、できた人間じゃない」

耳元で綺麗な唇が、感情を押し殺したような低い声で囁く。
耳をかすめるその吐息に、壁とリョウの胸の間に挟まれた私の身体がビクリと震える。


「リョウ、ん……」



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