【番外編】惑溺 SS集
 
「リョウ、からかってるでしょ」

「なにが?」

「そうやって抱きしめて、私が動揺しているの見て面白がってるんでしょ」

手に持ったお玉とお鍋の蓋をまるで剣と楯のようににぎりしめながら、私を抱きしめ続けるリョウを睨んだ。

「別に、好きだからくっついていたいだけだけど。
ダメ?」

「…………っ」

リョウは私の顔をのぞきこむように小さく顔を傾けた。
さらりと流れた黒髪の隙間から、綺麗な目元を細めて優しく微笑んで見せる。

ダメ?
なんて少しいじけた口調で甘く耳元でささやくと、ちゅっと音をたてて私のつむじにキスを落とした。

頭のてっぺんに感じたリョウの唇の感触に、思わず驚いた猫のように身体が勝手に飛び跳ねた。

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