【番外編】惑溺 SS集
 
「俺が好きだって言うのが、そんなにおかしい?」

体温計を持ってくる為に脱出しようとひとりじたばたと慌てている私を、いたぶって面白がるように腕の中に閉じ込めながらリョウはくすくすと笑う。

「おかしいよ、いつもそんな事言ってくれないのに……」

「……おかしいな」

そう反論して唇をとがらす私をぎゅっと抱きしめて、耳元で小さく囁いた。

「心の中ではいつも好きだって言ってるのに。
伝わってないんだ?」

「……っ!」

低く甘い声に、全身を柔らかく撫で上げられたような感覚。
ぞくぞくと全身を駆け上がる快感に似たその感覚に、思わず体中から力が抜けた。

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