【番外編】惑溺 SS集
楯のように左手に持っていたお鍋の蓋が、音をたてて床に転がった。
足元を丸いお鍋の蓋が円を描いて回る。
その蓋がカラカラカラ、と次第に音を小さくしながらゆっくりと動きを緩め完全に床に伏せった時にはもう、私の唇は塞がれていた。
身をよじって彼を見上げていた私の後頭部を大きな手で包み自由を奪ったリョウは、上から私を閉じ込めるように唇を塞いだ。
「……っ!」
突然の事に私は驚いて思わず逃げるようにもがいたけど、リョウの腕がそれを許すはずがない。
有無を言わさぬ強引なキス。
熱い舌が唇の隙間から滑り込み、するりと上顎をなぞる。
「んんっ……」
全身の肌が粟立って、体から力が抜けた。
私が抵抗をやめたのを感じ取ったのか、口付けをしながらリョウがくすりと笑う。