【番外編】惑溺 SS集
 
「っつ……、あっ」

腰の辺りから這い上がってくるぞくぞくとした感覚に、思わず首をすくめて天井を仰ぐ。

「ほら、早く言えよ」

なんて言いながら耳の孔の入口をなぞるリョウの舌先。

「やっ……!
だから、結婚を催促してると思われたらイヤだなと思って……!」

ぞくりとした快感にたまらず叫ぶようにそう言うと、リョウが掴んでいた右手を離した。

「どういう意味?」

「リョウは結婚する気ないのに私が指輪を左手に付けてたら、なんだか結婚を迫ってるみたいだなと思って……」

自由になった右手を持て余して、自分の胸の前で所在なく握ったり開いたりを繰り返していると、

「なにそれ」

頭上でリョウが馬鹿にしたようにぽつりと言った。

「だって、結婚を迫る面倒くさい女だと思われたくなくて」
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