【番外編】惑溺 SS集
「……酷い」
相変わらず意地悪なリョウに頬を膨らますと、リョウが耳元でくすくす笑いながらじゃれるように私の耳朶を甘噛みした。
耳の中に湿った舌を差し込まれ、ぞくりとする快感に言葉も思考も奪われる。
思わず足から力が抜けてがくりと崩れ落ちそうになると、リョウの腕が私の体をキッチンの冷蔵庫に押し付けた。
さっきまで後ろから抱きしめていたリョウが、今度は正面から私の事を見下ろす。
私を見つめる黒い瞳がいつにもまして艶やかで扇情的で、見ているだけでじわりと体の中心が疼いた。
キスをする直前の、顔を傾けたリョウの表情が好き。
さらりと流れた黒い髪。
その間から見える綺麗なまぶた。
伏せた長い睫毛。
色っぽい唇と、そこから続く顎のライン。
男らしい首筋、喉仏、襟元からのぞく鎖骨。
わざと私を煽るようにゆっくりと距離を詰めながら、そんな彼に見惚れる私を見てくすりと目を細めるその意地悪な表情。