【番外編】惑溺 SS集
 
私の体と言ってる言葉が正反対だと面白がってるんだろう。
わざとじらすように優しく指先を動かして、私の表情を眺める。

本当に意地悪。
こんなに強引に私の欲望を煽っておいて、こうやって焦らすなんて。


カタカタカタ。

どこからか聞こえる小さな音に視線を横にずらすと、火にかけられたままのお鍋の中で、放り込まれたお玉が小さく踊っていた。

「あ、……お鍋の、火」

ぐつぐつと沸騰するスープ。
忘れてた。
火をつけたままだった。

そう思って、冷蔵庫に押し付けられた身体を起こそうとすると、

「よそ見すんなよ」

にやりと笑った男が、私を焦らしていた指を引き抜くと、かちゃりとベルトをはずす音をたて乱暴に中に入ってくる。

お鍋の中のスープが……、

と思ったのは一瞬で、次の瞬間にはもうリョウの事意外、何も考えられなくなっていた。
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