【番外編】惑溺 SS集
あ、こっちも二日酔いだ。
しかも相当ご機嫌斜め。
「だ、大丈夫……?」
あまりの不機嫌オーラに恐る恐る声をかけると、チッと舌打ちをして前髪をくしゃりと掴んだ。
こわい。
寝る前までの酔っぱらったリョウとの落差がひどすぎる。
あんなに優しく甘い事をささやいて、あんなに甘えるように抱きついてきたリョウは、アルコールが見せてくれた幻だったらしい。
そりゃそうだ。
あの意地悪なリョウが、キッチンで後ろから抱きしめてきたり、上目づかいでみつめてきたり、つむじにキスをしてきたりなんて、普通ならありえないんだから。
むしろこの不機嫌なリョウが普通なんだから。
「あの、私二日酔いの薬探してくるね……」
私はそう言ってリョウのいる寝室からリビングへと出ていくと、はぁと大きく息を吐き出した。