【番外編】惑溺 SS集
「キャー!ちょっと、由佳!
知り合いとか言って、付き合ってんの!?
あんたこんないい男と付き合ってんの!?」
「うそだぁ!俺の松田さんがっ!
優しくて清純な松田さんが、こんな性格悪そうな男と付き合ってるなんてっ!!!」
興奮状態の沙織と、パニック状態の矢野くん。
ふたりの叫び声に思わず耳を塞ぎながら、落ち着けようと口を開く。
「いや、あの。
二人とも、ちょっと落ち着いて……!」
そんな騒がしさを遮るように、バサッと音を立てて矢野くんの頭の上に乱暴にダウンのジャケットが投げられた。
「もう、閉店だ」
ジャケットから顔を出した矢野くんに、リョウが冷たくそう言って
沙織には丁寧にコートを差し出し、腕を通しやすいように背後から手を添える。
「えええええ!?
ちょっと、客に帰れって言うの?
こんな気持ちのまま家に帰れないっすよ俺!
松田さん、俺帰りたくないよう!!」