【番外編】惑溺 SS集
「そんな顔して人の事見上げて、もしかして俺を誘ってんの?」
瞼を頬を唇を、ゆっくりとリョウの長い指が滑る。
グラスを洗っていたリョウの手は冷たくて、緊張とアルコールとで火照った頬に触れられるだけで、ゾクゾクと甘い快感が背筋を走る。
「うん……」
握っていた白いシャツを離し、背伸びをしてリョウの首に腕を回した。
「わざと、誘ってる……」
消えそうなほど小さな声でそう言うと、リョウは吐息を吐くようにして短く笑った。
カクテルを作るリョウを、カウンターの中で談笑するリョウを、沙織に優しい微笑みを向けるリョウを。
静かに遠くで見ながら、ずっとリョウに触れたくてリョウに触れてほしくて。
ずっとずっとドキドキしてた。