【番外編】惑溺 SS集
リョウは私の顎を大きな手で掴むと、覆いかぶさるようにキスをした。
角度を変え、深さを変え、繰り返されるキスに、ゆっくりと私の身体から理性がはぎ取られていく。
わざと音をたてるようなキスをしながら、後ろ手できゅっと水道の蛇口をひねって水を止めた。
静まり返った店内に響くのは、それまでとは違う種類の水音。
「あ……っ」
だめだ、立ってられない……。
このまま崩れてしまいそう。
そう思った瞬間、リョウは私の腰に腕を回し、体を引き寄せる。
どこまでも冷静に、私を見透かすこの男。
その余裕の態度が憎らしいのと同時に、ぞくぞくするくらい魅力的だ。
リョウは私の体をゆっくりと壁に押し付ると背中に手を回し、着ていたワンピースのファスナーに手を掛けた。