【番外編】惑溺 SS集
その時―――
『だって!お金払ってないじゃないすか』
お店の外から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『そんなの、今度会社で由佳に渡せばいいじゃない』
『ダメっすよ!
無銭飲食はするなって俺のばーちゃんの遺言なんです!!』
『矢野、あんたバカじゃないの?
看板の電気も消えてるし、もう店に誰もいないって』
矢野くんの大声と沙織の呆れた声。
階段を下りる足音と共にどんどん近づいてくるその声に、びくんと体を固くした。
沙織達が戻って来たんだ。
慌てて乱れた服を直そうと、肩から落ちたワンピースを引き上げると、リョウの手に阻まれた。
私の体を強く壁に押し付け自由を奪う。