【番外編】惑溺 SS集
『ほら、もう帰ったんだって!いい加減諦めなさい』
『えー、そうかなぁ……』
矢野くんの不満そうな声を聞きながら、必死に声をこらえた。
『きっともう家に帰って、今頃二人でいちゃいちゃしてるって』
『ヒドイ!戸田さんヒドイ!
そんな言い方しなくても。俺落ち込みますよ』
扉越しに聞こえる沙織と矢野くんの声を面白がるように、リョウは私の耳に音をたててキスを繰り返しながら、髪に長い指を絡ませる。
『あんた、そんなに由佳の事好きだったの?』
『入社した時からずっと憧れてたんすよ!
優しいし可愛いし、清楚な感じするし。
なのに、あんな性格の悪そうな男と付き合ってるなんて……』
優しく乱すように髪をかきあげられるて、露わになった首筋にリョウの熱い吐息がかかる。
「んん……」
耳朶をなぞっていた舌が、首筋に、鎖骨に降りてくる。
髪を乱していた指が、私のワンピースの中に滑り込み、素肌の上を滑る。
もう、声を上げて崩れ落ちそうなくらい、ゾクゾクした。