宝物〜絆〜
 そして昼休み。

 私は茜と唯に「煙草吸ってくっから先、食ってて」と言って秀人たちと屋上に向かった。

 屋上は今日も誰も居なくて、私たちの貸し切り状態だった。

 照り付ける五月の太陽は、涼しかった季節に別れを告げ、夏の到来を思わせる。

 それでも時折吹くそよ風のおかげで不快感はなかった。

「晃、来るかなぁ?」

 立川は煙草を吹かしながら屋上に入る為のドアを眺める。

「まあ、来なきゃ来ないで、あんま影響ねえけどな」

 秀人も煙草を吹かしながら遠くの空を見上げた。

「確かに」

 立川は苦笑いしながら答える。

 秀人のサラサラと風に靡く深紅の髪が、太陽の光によって宝石のように輝いて見えた。

 見慣れてるはずなんだけどな。思わず瞳を奪われてしまう。

 結局バカ西は、三人とも煙草を吸い終わった時にタイミングよく現れた。

「おう、よく来たなぁ」

 立川はバカ西に気付いて口を開く。

 バカ西は私や秀人を見て、嫌悪感を抱いたような表情になった。

 しかし立川は気にする事なく言葉を続ける。
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