宝物〜絆〜
「お前さ、またくだらねえ事企んでねえか?」

 立川は確信を持った言い方で問いただす。

「何の話? そんな事でわざわざ呼び出した訳? つか、後ろの二人は何だよ?」

 バカ西は明らかに不機嫌な様子で私たちを睨みつけた。

「はあ。あんさ、昨日俺ら三人、知らねえ奴らにからまれたんだよな。俺ら三人を目の敵にすんのってお前くらいのもんだろ?」

 立川は呆れたようにため息をついた。

「いや、たまたま三人で居る時にからまれたからって、俺のせいにされても困るんだけど」

 バカ西は笑って返す。

 たまたまな訳ねえだろ、と思わず突っ込みかけたが、私が口を出すと話が拗れ(こじれ)そうだから敢えて黙っている事にした。

 秀人も同じ考えなのだろうか? 敢えて口を出そうとしない。

「つか、月曜の時点で俺ら三人を狙ってる奴が居るって話、聞いてたんだよな。んで、昨日の奴らは俺ら見て『三人一緒に居てくれて探す手間が省けた』とか何とか言ってた訳だけど。これが偶然なんだ?」

 立川は小学生でも分かるように、わざとらしいくらい丁寧に説明する。

「んな事、言われたって知らねえよ」

 バカ西は若干イラついた口調で言った。

 やっぱ、とことんごまかす気なんだな、こいつは。
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