BirthControl―女達の戦い―
ふと見るとロッジの辺りから遥香が憔悴しきった様子で、隊員達に抱き抱えられるようにして歩いて来るのが見えた。
その姿は先ほど指揮官である山岡が言っていた通り、白い長袖のTシャツにグレーのスウェットを身に付けている。
もうすぐ春になるとはいっても、まだ凍てつくような寒さの中、とても暖かいとは言い難い服装に譲は顔をしかめた。
犯人達にひどい扱いを受けていたんではないかと心配になったからだ。
毛布にくるまれこちらにやってくる遥香に、譲は待ちきれないとばかりに、大声で名前を叫ぶ。
「遥香ぁぁ!」
その声に遥香はピクッと反応して、ゆっくりと虚ろな目線をさ迷わせながら、自分の名前を呼ぶその声の主を探し当てる。
遠くからでもお互いの視線が重なり合うのがわかった。
譲は涙を堪えながら、もう一度愛しい娘の名前を呼んだ。
「遥香!」
けれどもう一度呼んだその声に、遥香は先ほどのように譲に目線を合わすことなく、顔を背けた。
一瞬ショックを受けた譲だったけれど、遥香もこんなことに巻き込まれて動揺しているんだとその時は思った。
まさか自分に激しい憎悪を抱いているなどとは、夢にも思わずに……
その姿は先ほど指揮官である山岡が言っていた通り、白い長袖のTシャツにグレーのスウェットを身に付けている。
もうすぐ春になるとはいっても、まだ凍てつくような寒さの中、とても暖かいとは言い難い服装に譲は顔をしかめた。
犯人達にひどい扱いを受けていたんではないかと心配になったからだ。
毛布にくるまれこちらにやってくる遥香に、譲は待ちきれないとばかりに、大声で名前を叫ぶ。
「遥香ぁぁ!」
その声に遥香はピクッと反応して、ゆっくりと虚ろな目線をさ迷わせながら、自分の名前を呼ぶその声の主を探し当てる。
遠くからでもお互いの視線が重なり合うのがわかった。
譲は涙を堪えながら、もう一度愛しい娘の名前を呼んだ。
「遥香!」
けれどもう一度呼んだその声に、遥香は先ほどのように譲に目線を合わすことなく、顔を背けた。
一瞬ショックを受けた譲だったけれど、遥香もこんなことに巻き込まれて動揺しているんだとその時は思った。
まさか自分に激しい憎悪を抱いているなどとは、夢にも思わずに……