BirthControl―女達の戦い―
「それじゃ、行こうか?」


丸山がそう言ったのを合図にまた緊張が走る。


ここでは丸山の方が内部に詳しいため、自分はついていくことしか出来ない。


要は小さく頷くと、丸山の後についてそっと診察室を出た。


怪しまれないように堂々と並んで歩きながら、丸山は立入禁止と書かれたプレートの前までやってきた。


遥香に渡したものと同じ偽造カードを翳すと、ドアは疑いもなくあっさりと開く。


丸山もこの中に足を踏み入れるのは初めてのようで、キョロキョロと辺りを見回しながら慎重に歩を進めていた。


梨央からの情報では、この区域の一番奥の部屋に久枝は連れていかれたらしい。


とりあえず目指すは奥だと、要と丸山は押し黙ったまま目的地に向かった。


奥の部屋の前まで辿り着くと、やはりここもIDカードが必要なようだった。


先ほどと同じように偽造カードを翳すと、こちらもなんなく扉は開いた。


注意深く中に入ると、そこにはドーム型のシューターみたいなものが、置かれているだけだった。


さっき梨央と見たものと同じものが目の前にはあり、違うのは久枝の入ったカプセルがないということ。


< 254 / 406 >

この作品をシェア

pagetop