BirthControl―女達の戦い―
この部屋の向こうにあるだろうそれを、どうやったら助け出すことが出来るんだろう?


その時、梨央から無線が入った。


「要、聞こえる?」


梨央の慌てたような声に、要はドキリとする。


「どうした?何かあったのか?」


「遥香が青柳の部屋に行ったみたいなの

もしかしたら制御室に行くために、青柳の指紋を採取しようとしてるのかもしれない……」


あれほど危険だと釘を指したにも関わらず、遥香はまた青柳の部屋に侵入し、今度は部屋に小型カメラを取り付けていた。

そのおかげで遥香の動向がわかったのだから、文句も言えないけれど……


嫌な予感がした。


遥香はやはり要たちを待たずに青柳に何かするつもりだ。


「それで、遥香はどうしたんだ?」


「青柳が部屋を出ていった後、遥香もそれを追うように出ていったの

カメラは部屋の中しか撮影してないから、そのあとどこに行ったのかはわからないけど、多分制御室に向かったんだと思う

青柳のペン型のカメラが映してる映像が、そっちに向かってるから……

何度も遥香には声をかけてるんだけど、全く応答がなくて……

要、手遅れにならないうちに青柳の部屋に向かってくれる?

遥香が心配なの」


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