BirthControl―女達の戦い―
梨央が言い終わらないうちに、要は部屋を飛び出していた。


久枝のことは丸山に任せて、遥香の元へと走り出す。


丸山も遥香に何かあったんだと察したようで、何も言わずに送り出してくれた。


長い廊下からエレベーターへと向かう。


青柳の部屋に行くには、あのエレベーターに乗らなければならない。


焦る気持ちとは裏腹に慎重に行動しなければならない状況が、要を苛つかせた。


誰もいないことを確認しながら、エレベーターに乗り込むと、青柳の部屋のある階数ボタンを押した。


着くまでに何秒もかかっていないはずなのに、焦る要にはそれさえも長く感じる。


(――くそ!!

間に合ってくれ!

……遥香)


青柳の部屋はすぐにわかった。


よほど他人に踏みいられたくなかったのだろう。


ワンフロアに部屋は一つしかない。


そしてその隣には隠し扉だと思われる壁が不自然に広がっている。


梨央の話では、この扉の向こうに青柳も遥香もいるはずだった。


くまなく壁を調べると、ほんのわずかだけれど小さな窪みを発見した。


要はすかさず、そこに偽造カードを翳す。


シュンと音がして、瞬時に扉は開いた。


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