BirthControl―女達の戦い―
ガラスの向こうには巨大なベルトコンベアーが張り巡らされているが、カプセルは止まっているように見える。


その先の赤々と燃え盛る炎が、お預けを喰らった犬のように待ち構えていた。


(そういうことか……)


要は納得したようにそれを見ながら、今度は視線を下に向ける。


「――ッ!」


そこにはうつ伏せに倒れ、頭から血を流している青柳がいた。


(これは……遥香が……?)


もう一度腕の中にいる遥香を見ると、バツが悪そうな顔で小さく頷く。


自分がやったと言ってるつもりなんだろう。


「ごめ……なさい……

待てなかった……

久枝さんのカプセルを止めたかった……

間に合わないかもしれないけど……

もうダメかもしれないけど……

焼却して久枝さんが生きていたことをなかったことになんか出来ないと思って……

必死だった……

青柳が死んでも構わないって思った」


要は遥香をギュッと抱き締めた。


「もう……いい

後は私たちがやるから

久枝さんのことも丸山先生が何とかしてくれてるはずだ」


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