BirthControl―女達の戦い―
「……ありがと」


そう言って弱々しく笑った遥香を何とか立たせて歩かせる。


青柳は死んでいるのかどうか定かではなかったが、助ける時間はない。


急いでここから立ち去らなければと、もう一方のドアへと急いだ。


青柳の部屋を通り過ぎ、エレベーターへと向かう。


ゆっくりと遥香を誘導しながらエレベーターに乗り込むと、一階のボタンを押した。


一階に着くと、丸山がいる奥の部屋へと急ぐ。


ようやく目的の部屋に辿り着き、中を覗くといるべきはずの丸山の姿が見当たらない。


辺りを見回すと、ドーム型のシューターの横に、扉があるのに気づいた。


ドアを開けると先にいた丸山がカプセルを開けて久枝の様子を窺っているところだった。


「丸山先生!」


遥香はそう叫びながら丸山に駆け寄っていく。


さっきまで支えないと立っていられなかったはずなのに、久枝を思うあまりなのかもう足元はしっかりとしていた。


「はるちゃん、無事だったんだね?

良かった……」


「久枝さん……は?」


遥香は恐る恐るそう訊ねる。


< 259 / 406 >

この作品をシェア

pagetop