BirthControl―女達の戦い―
要の必死の形相がそうさせているのだろう。


もう一度パンっと乾いた音が響き、要はようやくその音がする場所に辿り着く。


そこはさっきまで自分が探しに探していた場所だった。


風呂場に飛び込んだ要の目に映ったのは、一番考えたくなかった惨劇だった。


「遥香ぁぁぁぁぁ!!」


入口付近には力尽きたように青柳が転がっている。


手には銃を握り締めたままで。


(やはりこいつが!)


その先で胸から血を流して倒れている遥香の元に走り寄る。


一度目は脚に……


そして二度目の銃声が急所を捉えたんだとわかる。


遥香を抱き抱えると、力なくうっすらと目を開けた。


「かな……めさ……」


「いい!しゃべるな!」


「泣いて……るの?」


そう言われて初めて自分の顔が涙でグチャグチャになっていることに気付いた。


遥香の後ろでは無念さに顔を歪ませ絶句している丸山が座っていた。


お湯はだいぶ溜まり始め、そこに久枝は寝かされている。


遥香を庇う余裕がなかったことが見てとれた。


いや、丸山を責めることは出来ない。


それにもし丸山に庇われていたとしても遥香は喜ばないだろう。


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