BirthControl―女達の戦い―
うまくいっただろうか?


試しに水道の蛇口を捻る。


勢いよく流れ出す水は冷たく、いまだ要が発電装置を動かせていないことを意味していた。


諦めて蛇口を閉めると、再び待機することにする。


どのくらい待っただろうか?


時間にすればそんなに待ってはいなかったのかもしれない。


忘れかけていた耳につけた無線機が、反応したのに気付いた。


「は……るか……

はるか……

遥香、聞こえる?」



それは先程まで意図的に無視していた梨央のものだった。


「梨央さん?」


遥香がそう答えると、梨央は声を荒げる。


「バカ!さっきから呼んでんのに、何で応答しないのよ!

どれだけ心配したと思ってんの!?」


いつもは優しく動じないタイプの梨央の取り乱した声に、遥香は自分がしたことがどれだけ心配かけていたのかを知る。


「ごめんなさい……

でも久枝さんは助け出せたから」


「見てたから知ってる」

謝ってもなお憮然とした態度を崩さない梨央に、遥香は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


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