BirthControl―女達の戦い―
政府がこの事態をもし、都合のいいように隠蔽しようと画策するなら、父を生かしてはおかないだろう。


そのくらい危険なことをしているのだということだけはわかる。


未だに映し出されている父の姿が、奥にあるドアに目を止めた。


近付いてそれを勢いよく押すと、意外にもドアは容易に開いたようだ。


そのまま奥に入っていくと、そこでまた映像は切り替わった。


父はゆっくりとカプセルに近づいていく。


けれどそれらは動いているため、父の力で止めることは出来ない。


父は何かを待つように、その場で立ち尽くしたまま、上の方を見上げた。


その視線の先に何があるのかはこの映像ではわからない。


しばらくすると、ふいにカプセルが止まった。


それを確認すると即座に一つのカプセルへと近付いていった。


少し高くなっているその場所に上がると、カプセルの蓋を開ける。


やはり父は先程の女性を助けに来たのだと、しのぶはその時はっきりと確信した。


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