BirthControl―女達の戦い―
「でも、お母さんまで危険に晒すわけにはいかないわ!」


母はそんなしのぶ優しく見つめると、ありがとうと悲しそうに笑った。


それから自分の決心が変わらないことをはっきりと伝えてくる。


「しのぶ……

お父さんは誰かを助けるためにあの場所に飛び込んだの

お母さんに知らせてくれなかったことは正直悔しいけど、きっと家族には迷惑をかけたくなかったんだと思う

だけどお母さんはどんな時でもお父さんの力になりたい

間違ったことしてるならそうならないけど、今お父さんのしてることは間違いじゃないもの

それにね?」


母はそこまで言ってから、一旦言葉を切ると、しのぶに言い聞かせるように続けて言った。


「しのぶには言ってなかったけど、あの施設には百合ちゃんだけじゃなくて、たくさん悲しい思いをしてる女性がいるのよ

お父さんはいつも健診に行くたびに、そんな女性の悩みも聞いてあげてた

体だけじゃなく心のケアもしてきたの

あそこで働く多くの女性は、下流世帯区域に住む子供が出来なかったり、結婚できない人なんだって聞いたことがある

それにあの久枝って人も、お父さんと同じ考えで、いつもスタッフの女の子を心配してたって聞いたわ

だからこそ……

あの施設で殺人が起きてることを知って、許せなかったんだと思う

ましてや久枝さんがターゲットになってると知ったら止めないわけにいかないものね」


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