BirthControl―女達の戦い―
しのぶは絶句した。


あの中でそんなことが起こってたなんて……


子供を3人生んで、のうのうと給付金をもらって暮らしていたしのぶには、そんな女性たちがいることを頭ではわかっていても、知ろうともしていなかった。


父がそういう女性たちと関わりを持っていたことも……


浮気されて実家に逃げ帰ることの出来るしのぶを、父はどんな思いで見ていたんだろう。


いい歳をして甘えた考えの娘に愛想がつきたのかもしれない。


だから父は顔を合わせることを避けていたんだと、しのぶはようやく理解した。


「私も行く!

私も何かお父さんの役に立ちたい!」


しのぶがそう言うと、母は驚いたように目を丸くしていたけれど、すぐにわかったと言って助手席に座るよう促した。


自分は恵まれた環境にいたんだと改めて感謝しながら、帰る場所のない百合子に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


(せめて……

私にも何か出来ることをさせてほしい……)


車が病院に近づいていく。


案の定、病院もパニックだった。


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