BirthControl―女達の戦い―
オフィスに戻ろうとした時、ロビーから見える歩道で男女が言い争っているのが見えた。


その女性の顔が見えた時、裕之は息を呑んだ。


「え……」


すぐにでもこの場から立ち去りかった。


心臓の音がうるさいくらいに聞こえてくる。


ここにいちゃダメだと脳は警告しているのに、足がすくんだように動かない。


見ちゃいけないと思うのに、女性から目が離せなかった。


息がうまく出来なくなってくる。


悪夢がまた……


裕之の脳を支配し始めた。


「なんで……」


忘れられるとようやく思えたのに……


自分の目の前で男と言い争う女性は、裕之の知っている頃よりも大人になった……















あの礼子だった

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