BirthControl―女達の戦い―
礼子から数歩後ずさると、裕之はそのまま逃げ出そうとする。


「菊地さん?どうしたんですか?」


そう声をかけられて、逃げ出そうとする足が止まった。


(……謝ればいいのか?
謝れば許してくれるんだろうか?)


しのぶにバレてようやく悪夢から解放されたと思ったのに、いつまで苦しめれば気がすむんだろう。


裕之は咄嗟に礼子の前にひれ伏した。


それから頭を深々と下げ、懇願するように許しを乞う。


「本当にあの時はすまなかった

お父さんに頼まれて仕方なくやったことなんだ

でも、実際に礼子ちゃんを傷つけたのは俺だし、悔やんでも悔やみきれないけど

だけどずっと申し訳ないことをしたって思ってた」


床に頭をつけ土下座しながらそう言うと、礼子は慌てたようにしゃがみこんで、俺を立たせようとする。


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