BirthControl―女達の戦い―
「こんなことやめてください!

頭をあげてください!


ごめんなさい……

菊地さんを責めるつもりで言ったんじゃないんです

あれが父の仕組んだことだっていうのは、私が一番よく知ってますから

ただあの時の菊地さんが、私よりも傷付いた顔してたから……

私に対してだけじゃなくて、ご家族に対して裏切ってしまったことを、とても悔やんでらしたから……

うちのせいで菊地さんに迷惑かけちゃって申し訳ないと思ってるんです」


(……えっ?)


裕之は礼子の言葉に、信じられない思いでいっぱいになる。


恨まれてこそすれ、申し訳ないだなんて言われると思わなかったから……


呆然としながら顔をあげて彼女の顔を凝視すると、寂しそうな笑顔を俺に向けた。


「噂で聞いてるとは思いますけど、両親が育てている三人の子供たちは私の子なんです

誰の子かもわからない子供を出産して、育てられるはずないじゃないですか?

だから私は家を出たんです

両親のあんな姿を見て、今まで通りに接するなんて無理だったから……」


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