BirthControl―女達の戦い―
この子は……


幼い体でたくさんの男を受け入れなくちゃならなかった。


それも親の保身のために……


どんなに辛かったろう?


そんな彼女の傷みなんか何一つ考えずに、裕之はあの時家族には言わないでくれと懇願したのだ。


「今は……さっきの人と?」


なぜだか今、礼子がどんな暮らしをしているのかが知りたくなった。


ちゃんとやっていけてるんだろうか?


そんな裕之の問いに、礼子はいたずらっ子のような瞳で答える。


「ふふっ、気になります?」


そう言われて裕之は急に恥ずかしくなった。


まるで彼女の私生活に興味津々な質問だったかもしれないと裕之は動揺する。


そんな裕之を見て、礼子は嬉しそうなからかうような笑みを浮かべて言った。


「菊地さん、顔真っ赤!

相変わらずなんですね?
なんか嬉しくなっちゃう」


(……えっ、えっ?

この状況で俺は何で彼女に笑われてるんだ?)


裕之はきっとそうとう間抜けな顔をしていたに違いない。


「……嬉しい?」


ついそう繰り返して言ってしまうと、礼子は満面の笑みを浮かべて大きく頷いた。


< 345 / 406 >

この作品をシェア

pagetop