BirthControl―女達の戦い―
「ご、ごめん……

変な意味じゃなくて……

俺がこんなこと言うのもおかしいかもしれないけど、礼子ちゃんならそんな働かないような男じゃなくて、もっといい人がいるんじゃないかな?」


すると彼女は驚いたように目を見開いてから、寂しそうに口を開いた。



「やっぱり菊地さん……優しいですね?

でも……こんな私に近づいてくる男性なんてそんなもんなんです

不倫だって思ってるでしょう?

だけど、彼は奥さんといるのがもう苦痛になってて……

ただ……利害が一致しただけなのかもしれないですね?

私が彼と子供を作れば世間的にも経済的にも認められるって思ったから……」


自分がこんなこと言える立場じゃないのはわかりきってる。


だけど言わずにはいられなかった。


「礼子ちゃん……

君が望む家庭を作りたいなら、自分が心から愛せる人と子供を作った方がいい

結果的にそれが経済的に豊かになるのならいいけど、今の状態で子供が出来ても……

やってることはお父さんと変わらないんじゃないのかな?

それにもし、世の中が変わって子供に給付されるお金がなくなった時、君は子供を育てながら働かない夫を支えていかなきゃならなくなる

愛してない利害関係だけの夫婦を、その時君は続けていけるのかな?」


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