BirthControl―女達の戦い―


「ごめん……」


「謝らないで……

私も最後はあなたとそうしたいって思ったんだから……」


気にしてない風を装いながら、彼が罪悪感と責任感を振りかざすのを待つ。


「もし、子供が出来たら結婚しよう?」


意外と早い申し出に、心の中でほくそ笑みながら、あえてすぐにはそれに乗ることはしない。


「あなたには奥さんがいるじゃない……」


わざと妻のことを引き合いに出せば、別れると言い出すに違いないという計算だ。


「あいつに子供が出来なければ、4か月後には離婚が成立する

頼むよ!俺、こんな風に感じたの初めてで……

今までは義務みたいなものだったし、はっきりいって面倒臭いものとしか思ってなかった

こんなに君を求めたのは、きっと愛してるからだと思う」


案の定、宮田は妻と4か月後に別れて、礼子と一緒になりたいと言った。


宮田が礼子の体の虜になったということはわかりきっていた。


けれどそれ以上に、職を失って途方に暮れる宮田が、礼子のところに転がり込もうと目論んでいることくらい、とっくに見抜いていた。


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