BirthControl―女達の戦い―
あんなに子供を欲しがったのも、辛い不妊治療を頑張っていたのも……


今思えば、全部洋一のためだった。


離婚したくないためだけに、百合子は一生懸命だっただけなのに……


体に溺れて、それを愛だと勘違いするなんて……


洋一はただ……リストラされて誰かにすがりたかっただけだったんだと気づく。


それなのに百合子に八つ当たりして他の女に走ってしまった。


(……俺は最低だ)


礼子は洋一を愛してなんかいなかった。


きっと、礼子もまた子供を作って金を得るのが目的だったんだろう。


あの法律が廃止になって、礼子の態度は明らかに変わった。


子供を作る意味も……


働かない洋一を養う意味も……


なくなってしまったのだとでもいうように……


知らないうちに洋一の足はふらふらと、百合子と住んでいた団地へと向いていた。


百合子には帰る場所がない。


きっと離婚してもなお、あの団地に住んでいるだろうと洋一は思ったのだ。


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