BirthControl―女達の戦い―
涙が頬を伝う。


こんなこと本当は言いたくなかったのに……


「なんだよ……それ……?」


洋一の顔が強張るのがわかった。


どの部分に疑問を投げ掛けているのかもわからない。


百合子の気持ちは伝わっただろうか?


もうあなたには気持ちがないのだと……


一人で生きていくから、あなたのことは受け入れられないんだと……


「男じゃないなら……居場所って……?」


洋一はまだ腑に落ちない顔でそう言った。


「ここだよ?

今はここで働くことが生き甲斐なの

毎日がすごく充実してて楽しいんだ」


そう言って百合子は悲しい笑顔を洋一に向けた。


「洋一?

もう人に頼るのは止めて自分の力で頑張ろうよ?

あなたとはもう夫婦にはなれないけど、自分で頑張ろうって思う気持ちがあるなら、協力はするから……

私も一人の力じゃここまで辿り着けなかった

いろんな人の協力や励ましのおかげで、あなたのことを忘れることが出来たし、新しい自分を見つけることが出来たの

だから、あなたにもひとりぼっちで頑張れとは言わない

だけどいつまでも人に頼ろうって気持ちがあるうちは、誰も洋一には協力しないと思うよ?」


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