BirthControl―女達の戦い―
しっかりと洋一から目を逸らさずにそう言えた自分が、嬉しかった。


もう二度と会いたくなかったし、思い出したくないと思っていた洋一に、協力しようと思えた自分に拍手したい。


丸山や久枝や梨央たち……それに遥香のおかげかもしれない。


彼女たちの生き様を見せつけられて、少しは自分も成長していたんだと思った。


自分のことだけじゃなく、他人のことも考えられるくらい、余裕が出てきたんだろうか?


洋一に対しても、怒りよりもだんだん悲しみが強くなっていた。


こんな情けない人が自分の夫だったなんて思いたくなかった。


このまま別れを告げて放り出しても、この人は変わらないかもしれない。


人のせいにしながら、どこかでのたれ死んでしまうかもしれない。


だったら、仕事をする喜びや、誰かの役に立つ喜びを、この人にも一度経験させてあげたいと思った。


百合子が得た充実感をこの人にもわかってほしい。


そうすれば今までの自分がどれだけ甘えて依存してたのかがわかると思うから……


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