BirthControl―女達の戦い―
それが、なんだというんだろう?


礼子はまだ父が意図することを理解できないでいた。


「だが、それもお前が20歳になれば全て打ち切られる

礼子……、実は父さんの会社、今うまくいってないんだよ

このままだと一家で路頭に迷うことになる

……そこでだ

お前に、子供を生んでほしいんだ」


(この人は、そんなことのために私をあの男に差し出したの?)


自分が頑張って働こうとか、そんな気はさらさらないんだと呆れてものも言えなかった。


哀しみよりも怒りの感情が礼子を襲う。


こんなことを朝食の席で言うこと自体、頭がおかしいんじゃないかと思った。


大好きだった父は、もう礼子の知る父じゃない。


金のために娘を売っても平然としていられる、ただの鬼畜だ。


父を蔑むように見つめながら、礼子は助けを求めるようにキッチンにいる母を振り返った。


娘をそんな風に扱われて、母が黙ってるわけがないと思ったからだ。


そう信じてすがるような気持ちで、母を見つめたのに……


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