Over Line~君と出会うために
そこから少しだけ時を戻して、六時半を回る、ほんの五分ほど前。
ライブの開始時間を控え、貴樹は身体をほぐすように動かした。軽いストレッチで身体の緊張をやわらげるようにしながら、いろいろなことに考えを巡らせる。これから始まるライブのこと、それから、彩のことを。
喉の調子は、まだ絶好調とは行かない。
万全とは言えないが、それでも、一時期の辛さに比べたらたいしたことではない。今日のステージを満足の行く結果に終わらせる分には問題ないはずだ。薬で誤魔化すことをしなくても、充分に動ける。ツアー最終日であり、三日連続公演の三日目だから疲労は残っているけれど、これが最後だと思うとこの辛かった半年の生活も名残惜しくもなるのだから、不思議なものだ。
だが、いつもよりも緊張していることは事実だった。
緊張のせいか、妙に指先が冷えている気がする。両手をこすり合わせて温めていると、ギターの沢口がにやにやしながら話しかけてきた。
ライブの開始時間を控え、貴樹は身体をほぐすように動かした。軽いストレッチで身体の緊張をやわらげるようにしながら、いろいろなことに考えを巡らせる。これから始まるライブのこと、それから、彩のことを。
喉の調子は、まだ絶好調とは行かない。
万全とは言えないが、それでも、一時期の辛さに比べたらたいしたことではない。今日のステージを満足の行く結果に終わらせる分には問題ないはずだ。薬で誤魔化すことをしなくても、充分に動ける。ツアー最終日であり、三日連続公演の三日目だから疲労は残っているけれど、これが最後だと思うとこの辛かった半年の生活も名残惜しくもなるのだから、不思議なものだ。
だが、いつもよりも緊張していることは事実だった。
緊張のせいか、妙に指先が冷えている気がする。両手をこすり合わせて温めていると、ギターの沢口がにやにやしながら話しかけてきた。