Over Line~君と出会うために
「俺が呼んで来てやったんだ。嬉しいだろう?」
 にやりと笑って天宮が付け加えると、貴樹は目を剥いて叫んだ。
「な……っ、そっ、そんなこと頼んでないし!」
 立ち上がって抗議をしようとして、足がもつれる。よろけて倒れかけたのを一人のメンバーが支え、彼は貴樹を問答無用でソファーへと突き倒した。
「さっきまで酸欠でひっくり返っていたんだから、おとなしくしていろっての。こけて怪我したら目も当てられないだろ」
「うるさい……っ」
「酸欠?」
「あー、気にすることないですよ、三枝さん。これもいつものことですから。こいつはバカなので、許容量オーバーで走り回ってひっくり返るんです。まあ、こいつの自業自得ですのでお気遣いなく」
 ぜえぜえ言っている本人の代わりに天宮が答え、入り口の傍で固まったままだった彩を貴樹の方へと押し出す。
「うううう、ひどいよ、順平ちゃん。俺は頑張っているだけなのに、何でそんないじわるなの」
「気持ちの悪いことを言うな。それより、言いたいことがあるんだろ」
 大仰な仕草で嘆いて見せていた貴樹は、天宮の言葉にぐっと押し黙り、それから、彩の方を窺うように視線を向けた。
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