Over Line~君と出会うために
「……あの、彩……俺」
そう言いかけてから、貴樹はうつむいて視線をそらす。
言葉を探すように唇を噛み締め、まだ額に滲む汗を手にしていたタオルで勢いよく拭った。そして、所在なさそうにそれを弄びながら、ぼそぼそと続ける。
「……えと、その……ライブ、楽しかった?」
「貴樹って、バカなの?」
質問の答えではなく、思わず彩がそう言ってしまうと、貴樹はショックを受けたように眉尻を下げた。
「ば、馬鹿って、ひどい! 俺は、いろいろ悩んで……それで」
「もっと早く、本当のことを教えてくれたらよかったのに。私、こんなに人気のある人を知らなかったなんて、物知らずで恥ずかしかったじゃない。ついでに言うなら、何も教えてくれなかったせいで余計なことを考えちゃったし、余計なことで怒ったことになるじゃない」
「で、でも」
「私は、貴樹が芸能人でもそうじゃなくても、別にどっちだっていい。でもね、すごく、カッコよかったと思う。貴樹がこの場所を大切にしているって言う意味が、よくわかった」
そう言いかけてから、貴樹はうつむいて視線をそらす。
言葉を探すように唇を噛み締め、まだ額に滲む汗を手にしていたタオルで勢いよく拭った。そして、所在なさそうにそれを弄びながら、ぼそぼそと続ける。
「……えと、その……ライブ、楽しかった?」
「貴樹って、バカなの?」
質問の答えではなく、思わず彩がそう言ってしまうと、貴樹はショックを受けたように眉尻を下げた。
「ば、馬鹿って、ひどい! 俺は、いろいろ悩んで……それで」
「もっと早く、本当のことを教えてくれたらよかったのに。私、こんなに人気のある人を知らなかったなんて、物知らずで恥ずかしかったじゃない。ついでに言うなら、何も教えてくれなかったせいで余計なことを考えちゃったし、余計なことで怒ったことになるじゃない」
「で、でも」
「私は、貴樹が芸能人でもそうじゃなくても、別にどっちだっていい。でもね、すごく、カッコよかったと思う。貴樹がこの場所を大切にしているって言う意味が、よくわかった」