理想の恋愛関係
ノックをしてから、扉を押し開けた。


机に座り何か眺めていた兄の背中が、ビクリと震えたのが見えた。


「……どうしたの?」


不審に思い聞くと、兄は引き出しに何かの冊子を慌てた様子で仕舞ってから振り返った。


「緑、何か用か?」


……あからさまに怪しい。


そう思ったけれど、わざわざ追求する気は無かったし暇も無い。


前置きなく本題を切り出した。


「最近、優斗君がどうしてるのか知ってる?」

「……なぜ、そんな事を聞く?」


兄は嫌そうに顔をしかめる。


それに気付かないふりをして、私は話を続けた。


「気になってるの……私と破談になったのがキッカケで、仕事が上手くいかなくなったと聞いたから」

「緑が気にする事はない」


兄は素っ気なく言ったけれど、そんな事無理に決まっている。


「ちょっと騒ぎ過ぎたし大人気無かったと思って……まだ優斗君の会社と取引してないの?」


もし、そうだったら止めて貰いたいと思った。


けれど、兄はあっさりと否定した。
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