理想の恋愛関係
不安でいっぱいになりながら仕事を終えた。


待ち合わせのレストランに行くのが怖くなっていた。


いろいろ考えたけれど、話と言うのはやっぱりちゃんと別れを言われるんじゃないかという気がして来た。


この前見かけた彼女とやり直すから、私の事はしっかりとけりをつけたいのかもしれない。


行きたくないと思った。


でも、優斗君との約束を破る訳にはいかない。


重い気持ちのまま、それでも待ち合わせの10分前にレストランに入った。


優斗君はまだ来ていなかった。


私は店員に待ち合わせだという事を伝え、席に座り優斗君を待った。




15分の程経った頃、優斗君がやって来た。


「遅くなってすみません」


優斗君はそう言いながら、私の正面に座った。


「優斗君……私が早く来ただけだから」


久しぶりに優斗君と向き合った事と、これからの不安で、異常に緊張が高まる。


気の利いた言葉を出せないでいると、優斗君は少し気まずそうな顔をしながら言った。


「緑さん、お見舞いの花をありがとうございました。
母も喜んでいました」


「えっ……ああ……その事なら……病室が明るくなればいいと思って」


予想外の言葉に戸惑ってしまう。


優斗君は続けて言った。


「あの花は、緑さんが選んでくれたんですよね」

「選んだというか……」


……予想はしていたけど、優斗君は私の仕事を知らないようだった。


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