理想の恋愛関係
玄関には造り付けのシューズボックスが有るだけで、他には何も無かった。


「お邪魔します」


廊下を通り、リビングへ向かう。


それなりの広さのリビングは何というか……物が少ないのに散らかっているといった感じの微妙な状態だった。


窓は引っ越してから磨いてないのか曇っていて、部屋全体がくすんだ印象だった。


「汚れてるだろ?」


優斗君は気まずそうな顔をして言う。


「え? そ、そんな事無いわ。大丈夫」


なんだか良く分からない返事をしながら、私は部屋をもう一度グルリと見回した。


きっと続きのキッチンも汚れたままだろうし、結構時間がかかるかもしれないと思った。


でも……その分、優斗君と長く一緒に居られる。


ニヤニヤしそうになるのを堪え、私は持って来た荷物から掃除道具を取り出した。


「え……わざわざ持って来てくれたんだ?」


優斗君は少し驚いたようだった。


「足りない物が有って買いに行く事になったら時間の無駄かと思って」

「準備がいいな」


優斗君は感心した様子で言う。


かなりいい感じの雰囲気になってる気がする。


「早く、掃除しちゃいましょう」


上機嫌で言うと、優斗君は頷きながら言った。


「じゃあ悪いけど緑さんは一階を頼むよ。俺は二階をやるから」

「……え?」


動揺する私に気付かずに、優斗君はスタスタと階段に向かって行ってしまった。

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